岡山一成が考えるワンポイントキャリア【第2回】
Jリーガーと一般社会の生活水準のギャップ

2017.03.03

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ワンポイントキャリアとは造語で、セカンドキャリアに向かうまでのリハビリ期間と思ってもらえればすんなりと受け入れられると思う。

 

サッカーやその競技しかしてこなかったアスリート。俺もそうやったけど、アルバイトすら経験がない選手も多い。

 

誤解して欲しくないのは、アルバイトを見下してるんじゃない。むしろ、憧れていた。サッカー部の仲間が、早々と引退して、アルバイトをしながら、自分で稼いだお金で、残りの高校生活をエンジョイしていた。傍目でみながら、隣の芝生は青く見えた。

それでも、青春をサッカーに注ぎ、手にしたプロサッカー選手。

ハッピーエンドの話しはここでは置いといて。

高校卒業して、Jリーガーになり、金銭感覚が変わる。

 

お金の為にサッカーをやってきた訳じゃないのに、プロになり、いつしか、サッカーでお金を貰うのが当たり前になり、10年経った頃には、職業として、金額が評価の基準になってしまう。

「よく頑張ってくれた。」どんなに労いの言葉を言ってくれても、査定として、金額のアップダウンでしか、気持ちを推し測れなくなるのが、プロの世界。

そのなかでも、チームへの愛着など、いろんな要素を加味して、契約書にサインをする。だから、より良い評価をしてくれるチームに移籍する風潮は否定出来なくなってきている。

 

「好きなサッカーをお金で動機付けするなんてイヤだ。」

 

そんなことを言うヤツはプロの世界に踏み込まない方がいい。

 

何千万の値段がついていても、一瞬で0円の価値に変わる世界は綺麗事だけではやっていけない。

 

お金を払ってまで、応援してくれる人達の想いを背負う分、自分の足の値段と真摯に向き合わなければならない。

 

このまま、書いていくと、サッカー版のグラゼニになってしまう(笑)。(プロ野球のお金を題材にした漫画。グランドにゼニが落ちている略でグラゼニ。)いつか、書くかもしれんけど、今回はワンポイントキャリアに戻そう。

 

そんな思考や金銭感覚が染みついたなか、一般社会の生活水準とのズレをどういう風に擦り合わせていくかを提唱するのがワンポイントキャリア。

 

俺が奈良クラブに入団して、1番良かったのは、一般社会を知れたこと。

 

Jリーガーの誰1人、自分が貰う年俸が妥当だと、胸を張って言える選手はいない。1試合勝つと、一般社会の1か月分の給料に相当する勝利給が貰えることを説明出来る選手に会ったことはない。それなのに、どこどこのチームの勝利給はいくら?そんな情報が飛び交い、自分のチームとの比較をしてしまう。

 

ちなみに、韓国のKリーグでもJ1チームクラスの勝利給が存在していたから、Jリーグが特別というものでもない。

 

だから、年俸とは別に、その月の成果によって、給与明細の金額は変わってくる。夢を見せている舞台裏をあまり見せてはいけない風潮があるが、俺はあえて、書いていきたい。プロの世界の光と陰を経験した者として。

 

一般社会とあえて表記するのも、プロの世界が歪な世界だったんだと、改めて感じているから。

話しを奈良クラブで知った一般社会に戻そう。

 

奈良クラブの選手はアマチュアやから、練習後、働いている。奈良クラブのスポンサーのそれぞれの会社に選手を雇用して貰っている。同じJFLのソニー仙台やHONDA FCみたいに、ひとつの企業でみんなが働いてるんじゃないから、給与や待遇(正社員や契約社員、アルバイトなど様々。)労働時間や休みなどがバラバラ。

 

ここが企業チームとの違いで、サッカー選手を辞めた後、社員として、迎えられる訳でもなく、奈良クラブから、戦力外通告を受けると、職を失う。スポンサーの好意で、そのまま会社に残れる場合もあるけど…。

 

だから、チーム、選手、スポンサー企業との関わり方が重要になってくる。ここら辺の話しは、いずれ、選手紹介を兼ねて、書いていけたらと構想している。

 

 

俺自身はというと、ムジカラボという会社でアドバイザーをしている。

このグッズ製作会社が、俺のいうところの一般社会の会社であり、俺のワンポイントキャリアになっている。

 

そこらへんの話しは次回。

 

 

 

 

岡山一成(おかやま・かずなり)

1978年4月24日生まれ。大阪府堺市出身。

初芝橋本高卒業後、97年横浜マリノスに入団。打点の高いヘディングを武器にデビュー戦から3試合連続ゴールを記録して一気に頭角を現す。大宮アルディージャ、横浜F・マリノス、セレッソ大阪、川崎フロンターレ、アビスパ福岡、柏レイソル、ベガルタ仙台、浦項スティーラーズ(韓国・Kリーグ)、コンサドーレ札幌と渡り歩き、13年8月から奈良クラブ(JFL)に所属。川崎フロンターレ時代に始めた試合後のマイクパフォーマンス“岡山劇場”がサポーター人気を集め、その後現在まで継続。14年4月24日には自身の著者「岡山劇場」を出版。

岡山一成(おかやま・かずなり)

1978年4月24日生まれ。大阪府堺市出身。

初芝橋本高卒業後、97年横浜マリノスに入団。打点の高いヘディングを武器にデビュー戦から3試合連続ゴールを記録して一気に頭角を現す。大宮アルディージャ、横浜F・マリノス、セレッソ大阪、川崎フロンターレ、アビスパ福岡、柏レイソル、ベガルタ仙台、浦項スティーラーズ(韓国・Kリーグ)、コンサドーレ札幌と渡り歩き、13年8月から奈良クラブ(JFL)に所属。川崎フロンターレ時代に始めた試合後のマイクパフォーマンス“岡山劇場”がサポーター人気を集め、その後現在まで継続。14年4月24日には自身の著者「岡山劇場」を出版。
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