【秋田県】未来に繋がる観客アップの秘訣とは!?

2017.10.20

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出典: https://twitter.com/

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一部情報を更新しております。

 

 

■秋田県の位置と周辺環境

今回のスポーツマネイジメントコラムは、東北地方の北西部、日本海側に位置する秋田県を取り上げたい。秋田県は全県域の90%が特別豪雪地帯に指定されており、冬季の日照時間が日本全国の都道府県の中で最も短いことで知られている。秋田は最も日焼けとは縁遠い、美の国なのである。

秋田県の県庁所在地、秋田市は人口約32万人で、秋田県民の全体の約30%が秋田市内に集中しており、秋田県の政治、経済、交通が集中している。東北地方で最も早く中核市の指定を受けたことから見ても、秋田市は東北地方の中でも青森市や盛岡市と並んで主要都市といえる。

気候は日本海側気候だが、平成に入ってからは特に暖冬傾向が顕著となり、マイナス10℃以下の気温を記録したのは、わずか2度だけらしい(それでも充分寒いが)。反対に、最高気温は1978年に38.2℃を記録したことがある。

 

 

■秋田県の人口とスポーツの分布

 

秋田県は雪国ということで、初めから「ウィンタースポーツや室内競技がさかんなのだろう」と予想しながら調べ始めた。もちろんその考えに間違いはなかったのであるが、他にもあれこれ調べているうちに、人口減少率が福島県に次いで多く、1%を超えているということが分かった。

 

そのため、地域に対するプロスポーツチームの密着度や観客動員数を増加させるアイデア云々・・・というよりも、少子高齢化という人口減少の大きな問題の方が、ずっしりのしかかっていて、スポーツ界はジリ貧では?と勝手に心配してしまったのである。

 

秋田県の人口は約106万人(2012年10月1日現在、秋田県HPより)、そのうち15歳未満人口が118,079人(11.1%)、15歳以上65歳未満人口が617,868人(58.1%)、65歳以上人口が325,343人(30.6%)世帯数は392,187世帯である。

 

秋田県の人々が自ら好んで行うスポーツとしては、第1位のウォーキング・軽い体操、2位の野球、第3位につり、4位は水泳となっており、5位にやっと豪雪地帯特有のスポーツ、スキー・スノーボードが登場する。

秋田県スポーツ分布

 

 

■秋田県内を本拠地とする主なスポーツチーム

秋田県内に本拠地を置くスポーツチームを挙げてみた。

・秋田ノーザンハピネッツ 男子バスケットボール(Bリーグ)

・ブラウリッツ秋田 男子サッカー(Jリーグ)

・秋田ノーザンブレッツ ラグビー(トップイーストリーグDiv.1)

・秋田ノーザンブレッツプレアデス 女子 7人制ラグビー

・TDK硬式野球部

 

 

■秋田県・秋田市による公式支援チームは3チーム

 

 

秋田県のHPには、プロスポーツチームや民間企業の名前があちこちで掲載されていた。自治体と民間企業が手を組んでスポーツチームを応援している姿勢がひと目見て分かり、さっそく好感を持ったのだが、念のため、秋田県と秋田市の両自治体に、どのようなバックアップをしているのか電話で尋ねてみた。

 

秋田県、秋田市、ともに公式にサポートしているスポーツチームは、秋田ノーザンハピネッツ(バスケットボール)、ブラウブリッツ秋田(サッカー)、秋田ノーザンブレッツ(ラグビー)の3チームであった。

 

 

■驚くべき情報開示の質と量

県、市ともに電話での質問に大変丁寧に、そしてかなり詳しく教えていただくことができた。果たしてここまで具体的に回答して良いものなのか・・・?とこちらが心配になるほどオープンであった。

 

「数字まで公開しても問題ないのか?」と聞くと「問題ない」とのことで、さらに「自治体がスポーツチームを応援するのは市の方針ですし、県民や市民のみなさんから《一民間企業に税金を投入して》などというクレームはこれまで来たことがありません。」という、クリアな回答であった。

 

 

■具体的な支援(秋田市の場合)

その思い切った?かどうかは不明であるが、支援の内容をここでご紹介しよう。まず秋田市の主な支援方法は3つ。

 

①スポンサーとしての補助金を公式支援している3チームに、それぞれ年間200万円拠出している。チームのユニフォームに「秋田市」のロゴを入れたり、ユニフォームにロゴを入れられないチームには「秋田市」の看板をホームゲームの試合会場で設置、撤去する費用として助成している。

 

②チームの選手が、地元小中学校で講演会を開催したり、子ども達の体育の授業に一緒に参加する。選手自らの人生の岐路や挫折経験を話してもらうことにより、子ども達に興味を持ってもらう。競技人口を増やす目的と、試合会場に家族ぐるみで来てもらうことにより、観客動員数アップを狙う。この講演活動や授業への参加で、1チームあたり年間20万円が市から助成されている

 

③試合情報をツィッターや市役所、または試合会場で告知している

 

その他、他の自治体でよく見受けられる、施設利用料の免除や優遇措置は、現在、特に行われていないそうだが、今後の検討材料となっているそうだ。

 

 

■具体的な支援(秋田県の場合)

秋田県の回答も全くもって明快であった。

 

①各チームがスポーツ教室を開催することを条件に、年間2,600万円のお金を3チームに助成する

 

②ホームゲーム開催日は最寄駅から試合会場までシャトルバスを運行させる

 

③ファン感謝祭を県主催で執り行う

 

④試合会場でのボランティア向けの研修・講習会を県が執り行う

 

このように、しっかりした方針がハッキリと見て取れる。

 

 

■観客動員数アップの要因

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県と市の支援のあり方で注目したいのは、スポーツチームという影響力の大きなツールを使って、小中学生向けに熱心に働きかけを行っていることだと思う。「三つ子の魂百までも」ではないが、子どもの頃に感じたこと、心震えるような体験は、大人になっても忘れられない記憶となって残るものである。

 

もちろん、子どもを取り込めば親が試合会場について来る、単純に売上が2倍になる、といったような即物的な考え方も否定はしないが、長い目で見て地域愛?いや、郷土愛に繋がると理解した上での県政、市政であり、これが究極の教育なのかもしれない。

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