
一人ひとりの成長に目を向けた指導を。
子どもたちと一緒に自己ベスト更新!
2013年8月、たった4人の生徒さんでスタートした但馬アスリートクラブ。当時、取材に伺った際の後藤代表のイキイキとした表情はいまでも目に焼きついています。今回、但馬ACが4周年を迎えられたこの機会にふたたび但馬の地を訪れ、地元で陸上クラブを立ち上げられた思い、4年という短期間で生徒数200人を超えるクラブに成長させた秘訣、後藤代表個人とクラブの目標などについて伺いました。(聞き手:木村仁美/執筆:高橋武男)
――クラブ創立4周年、おめでとうございます! 前回取材に伺ったときは、地元但馬で陸上クラブの立ち上げを決意され、無料体験教室を皮切りに活動がいよいよ始まるというタイミングでした。あれから4年、まずはひと言お願いしてもよろしいでしょうか?
2017年8月2日、お蔭様で但馬アスリートクラブは創立4周年を迎えました。スタートした当初の生徒さんの人数は、たった4人だったんです。それがいまでは200人を超えるクラブに成長しました。
これもひとえに、但馬ACの陸上教室に参加してくださっている方々を始め、地域や保護者の皆様、学校関係者、クラブのコーチ陣たちに支えていただいたからこそだと感謝しています。
――但馬ACを立ち上げられた思いを、改めてお聞かせください。その思いは4年経ったいま、どのくらい実現されているでしょう。
「学校に陸上部がなくても陸上ができるという選択肢をつくりたい」
「専門的な指導を受けたくても受けることができない選手をサポートしてあげたい」
「自分が陸上を通じて経験してきた多くの感動を子どもたちにも経験してほしい」
「学校や年齢の垣根を越えて様々な人が交流する場をつくりたい」
こんな思いで4年前に但馬ACを立ち上げました。
4年経ったいま、但馬ACには小中高生を始め、社会人の選手、コーチ陣まで、まさに子どもから大人まで多彩な顔ぶれであふれています。
走ることが得意な子どもたちはもちろんですが、走ることが得意でない子どもたち、あるいは陸上部以外のクラブに所属しながらも走ることに関する専門的なトレーニングを受ける目的で参加してくれている子どもたちもいます。学校に陸上部がないため、但馬ACで陸上競技を続けている選手も増えてきました。
こうして考えると、陸上競技の感動を伝えたい、走ることが好きな子どもたちを増やしたい、地域の陸上競技のすそ野を広げたい、交流する場づくりをしたい――そんな当初の思いをある程度はかたちにできてきたかもしれません。
もちろん発展途上のクラブなので、ますます活動を充実させていきますよ。
――「将来は但馬からオリンピック選手を!」――そんな夢も語っておられましたね。
もちろんオリンピック選手を輩出する夢は持ち続けています。その夢の実現につながる子どもたちの成長は目を見張るものがあります。
たとえば今年度は小学4年生の男の子が兵庫県小学生陸上大会の100mで1位に、さらに5年生の男の子が100mで2位に入りました。女の子のほうでも、小学5年生の子が兵庫県大会の100mで4位に入賞しています。
5・6年生で県大会1位になると、全国大会に出場できるんです。今年は惜しいところまでいったので、「来年こそは!」という思いは強いです。今後も継続していいサポートができるようにコーチ一同頑張っていきます。
ただし、足の速い子どもたちばかりを集めているわけではありません。いまは走ることが苦手でも、「速く走れるようになりたい!」という気持ちがあれば、どんな子でも但馬ACは大歓迎です。今後もクラブの活動を通じて走る楽しさや、成長する喜びを伝えていけるように頑張ります。
――ありがとうございます。それにしても、短期間でクラブの規模をここまで拡大し、地域に陸上競技を根づかせたのはすごいことだと思います。現在に至る苦労や集客の秘訣を教えてもらえますか?
クラブを立ち上げた当初は地域にチラシを配ったり、小学校で無料の陸上教室を開いたりして、まずは但馬ACを知ってもらう活動に力を入れました。
こうした地道な活動を続け、少しずつクラブの存在を知ってもらった感じですかね。ある程度の規模になってからは、お陰様で人が人を呼ぶというか、紹介で生徒さんが集まってくれるようになりました。「来週から友だちを連れてきていいですか」という子がいたり、親御さんの間で噂が広まってお子さんの友だちを誘っていただいたりと、本当にありがたいです。
――2016年12月には、一般社団法人但馬アスリートクラブとして法人化されました。組織としての充実はいかがでしょう。
まだまだ十分とは言えませんが、コーチの数も年々増え、指導体制は充実してきています。法人化によって組織が透明化し、社会的信用を得たことでクラブの活動に協力してくださる方も増えてきたように思います。
昨年度は長距離種目専門のコーチ、そして今年度は跳躍種目専門のコーチがそれぞれ加入してくれました。各種目に合わせた専門的な指導ができるという理想的な指導体制が整いつつあります。指導者の資格を取得するコーチも増え、指導力向上にも日々努めています。
それでも、生徒の数に対してコーチの数が不足している状況は否めません。今後、クラブの活動が盛り上がっていくことで但馬ACの活動に協力してくださる方がさらに増えていくのを期待していると共に、クラブの卒業生がコーチとして帰ってきてくれる日を楽しみに待っています。
――最後に後藤コーチご自身の目標と、クラブの今後の展望についてそれぞれぜひお聞かせください。
但馬ACとしての目標は、来年度の全国大会に生徒を送り出すことですが、直近の目標は「陸上教室に通ってくれている子どもたち全員に自己ベストを出してもらうこと」、これは但馬ACの変わらぬ思いでもあります。記録が伸びて嬉しそうな子どもたちの顔を見ることが、なによりも私のエネルギーになります。目立った活躍だけでなく、一人ひとりの成長に目を向けて今後も指導していきます。
さらに運営面では、積極的に新しい事業に挑戦していきたいと考えています。2017年4月には、クラブの専属コーチである藤岡コーチが「ボディメイククラス」を立ち上げ、陸上教室以外の活動がスタートしました。ボディメイクとは、健康で機能的な筋肉を備えた体づくりを目的としたトレーニングをさします。藤岡コーチがさまざまな筋力トレーニングのメニューを考え、地域の方々の健康維持・増進やさまざまなスポーツ選手の競技向上のために力を入れてくれています。
そのほか、幼児教育クラスの要請を受けていたり、障がい者スポーツの指導にも関わったりと活動の幅は広がっています。現在は子どもたちを対象とした陸上教室がメインですが、将来的には陸上競技を軸とした各種スポーツ教室や、老若男女問わず地域の方々の健康維持・増進、スポーツの振興に関る活動にも力を入れていきたいと考えています。
但馬ACの活動が但馬地方の陸上競技の発展に貢献するとともに、これまで以上に様々な人びとを結びつける交流の場となるようにより一層頑張っていきます。
最後に、私自身の目標としては、世界マスターズで世界一になることです。2021年に「ワールドマスターズゲームズ2021関西」と呼ばれる、いわゆる世界マスターズ大会が日本で行われるんです。その大会でリレーチームを結成し、メンバーの一員として優勝することが夢です。今後も自己ベスト更新を目指し、子どもたちと一緒に頑張っていきたいと思います。母国開催で金メダルが取れれば最高ですね!
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