スポーツで学んだ団結力を経営に活かす。

2016.08.09

スポーツで学んだ団結力を経営に活かす。の写真

 

株式会社グッドライフOS 大知昌幸社長に聞く

小学生時代はサッカー部で全国4位の成績を残し、大学卒業後に新卒で就職した会社は弱肉強食の厳しい世界。それでも喰らいつきトップセールスを達成する。
起業後はスポーツで学んだ〝団結する力〟で増収増益を続け、現在は同氏の原点ともいえるサッカーチームの支援にも力を入れる。
いま注目を集めるベンチャー企業経営者・株式会社グッドライフOSの大知社長に、サッカーとの出会いや起業の経緯、事業に賭ける意気込みについて聞いた。

 

仲間の中心にいた少年時代。サッカーは全国区で大活躍

 

小学生時代から声も体もダントツに大きくて、何より究極の目立ちたがり屋。何をするにもクラスの中心にいて、仲間に常に囲まれている、そんな子ども時代でしたね。
そして打ち込んでいたのがサッカーです。小学3年のときに地元奈良市のサッカークラブに入り、当時から体格がよくキック力も強かったこともあって、上級生を飛び越してチームで活躍していました。同級生のメンバーにも恵まれて、小学6年次には全国大会でベスト4になったんです。さらに奈良県選抜にも選ばれ、県代表でプレーしていました。けっこう名の知れた小学生だったんですよ。
その後、地元の中学に進学してサッカー部に入ったんですが、クラブに力を入れるよりも、クラスの仲間とつるんでいるほうが楽しくなってしまった。3年では一応、副キャプテンを務めましたが、最後までサッカー熱がよみがえることはなかったですね。その点、高校ではまたサッカーに真剣に打ち込みました。チームとしての成績はそれほどふるいませんでしたが。

大学ではサッカー部には入りませんでした。高校で未練なくスパッとサッカーをやめ、バイト漬けの4年間。いま振り返れば、大学時代は何かに無我夢中でがんばる情熱を見失っていたように思います。

弱肉強食の世界でトップに。かつての情熱を取り戻す
意外にも典型的なサラリーマン家庭で育ったので、就職先は大手で安定した会社を望んでいたんです。できれば金融関係に就職したかったんですが、バイトに明け暮れて就活に乗り遅れ、結果は惨敗。少し自信をなくしていたとき、実力主義の営業会社の説明会に参加して魅力を感じ、無事に内定をもらうことができました。

いざ働き始めると相当厳しい世界で、最初の半年ほどはパソコンの陰に隠れながら、ギリギリ怒られない程度の低空飛行で仕事を続けていましたね(笑)。ですが半年後にやってきた上司が尊敬できる方で、「この人のためにがんばろう!」とやる気のスイッチが入ったんです。その結果、みるみる営業の成果が上がり始め、そのまま一気にトップセールスにまで駆け上がりました。人ってやっぱり自分のためより、誰かのためにがんばるほうが力が出ると、そのときに学びました。ちなみにその上司とは創業メンバーの一人で、現在当社の取締役の根岸のことです。

こうして厳しい環境で努力し、トップになった成功体験が自信になり、かつてサッカーに打ち込んでいたときのような情熱がよみがえりました。同時に、やれば結果がついてくるという、サッカーで経験していた努力の大切さも思い出すことができましたね。

 

ベンチャー経営者に刺激を受け起業を決意

 

営業で成績を出し、入社4年目に東京本社の経営戦略企画室に栄転しました。すでに営業マンとして結果を出していたので何でもできると過信していたんですが、新しい部署ではまったく役に立たなかった。業務提携や成長企業への投資といった経営戦略を企画し実行する部隊だったんですが、実力が追いついていなかったんです。自分の無能ぶりを痛感し、天狗になっていた鼻がポッキーンと折れてしまいました。

そのとき、こう思ったんです。「もう一度初心に返り、丁稚からがんばろう」と。以降、役員のカバン持ちをして、経営戦略や財務戦略を学ばせてもらうとともに、商談の場にも同席させてもらいました。当時(2004~06年頃)はITベンチャー全盛時代で、商談でお会いするベンチャー経営者がみんなアドレナリン出まくりで輝いていたんです。その姿を目の当たりにして刺激を受け、「俺もあんな経営者になりたい」と思ったのが、起業を意識するようになったきっかけです。

その後、ご縁があってヤフーの子会社に出向し、モバイルに関する新規事業プロジェクトのリーダーになりました。事業を進めるなかで起業を具体的に意識し始め、たくさんの人が背中を押してくれるようになりました。さらに志を共有して一緒に事業をやってくれる仲間もでき、最終的に独立するに至ったんです。

2006年9月に創業した際、他の創業メンバーはまだヤフーに出向中だったので、自分一人での船出でした。そして3ヶ月後の12月に法務局に書類を提出し、株式会社グッドライフOSを設立しました。

スポーツで学んだ〝団結する力〟
創業時に掲げた目標は、設立10年で売上高100億円。おかげさまで創業以来、増収増益を続け、社員数はグループ全体で170名を超えました。短期間でなぜここまで成長できたのかといえば、多くの人に助けられてきたから、このひと言につきますね。

創業時からこだわり続けてきたのは採用です。人を蹴落としてでも上を狙うような人や、肝心な時に責任を取らず人のせいにするような人とは一緒に働きたくなかった。そうではなく、人として大切なことを失わずにがんばってきた人、具体的にいえば人間性がしっかりしている人と志を共有し、チームをつくりたかったんです。

サッカーでも強いチームは、選手たちの人間性がしっかりしていました。これは企業も同じで、「誰かのために力になりたい」と本気になれる人が集まらないと良い仕事はできないと思うんです。

多くのスポーツはチームで一番を目指します。チームで力を合わせるからこそ、想像を超えたエネルギーが生まれ、偉業を成し遂げられるようになる。現在はスポーツで学んだこの〝団結する力〟を経営に活かして、価値観の合う仲間、目標の一致した仲間とチームを組み、同じビジョンに向かい走り続けている最中です。

 

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スポーツを通して関西を盛り上げたい
 

サラリーマン時代は東京で働いていましたが、起業の地は大阪を選びました。自分自身が奈良出身であるということ、そして関西人として育ったのが一番の理由です。経済が一極集中する傾向のなか、大阪や関西を盛り上げ、地方からもエネルギーを発信していきたいと思っています。

さらに現在、日本フットボールリーグ(JFL)所属の奈良クラブに協賛しています。実は奈良クラブのGM・矢部次郎は小学生時代の同期なんです。彼はサッカーの道に進み、私は経営の道に進んだ。お互い経験を積んでからまた再会し、ともに夢を語り合うなか、サッカーを通じて奈良の振興を本気で考えている矢部の思いに共感し、たとえ僅かでもサポートしたいと思ったのがきっかけですね。

私自身、本業のビジネスで関西の活性化に貢献するのはもちろん、スポーツを通して関西を盛り上げたいという思いがあります。利益を上げることのみが事業の目的ではなく、生み出した利益を使って一人でも多くの人の心を豊かにし、社会に貢献できる企業をめざしていきます。

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