スポーツビジネスの理想形は日本にあり!大相撲が持つ3つの優位性

2017.06.02

スポーツビジネスの理想形は日本にあり!大相撲が持つ3つの優位性の写真

photo by HATOYA.COM

 

ビジネスにおいて、ベンチマークとなる企業を決め、そこを目標にして経営を行うことがある。自社の目指す姿にもっとも近い企業をピックアップし、その企業の取り組みなどを自社に取り入れる。自社の成功例をイメージすることで、ゴールを明確にし、業務の意図などを理解しやすくするのが狙いだ。これにより企業のトップだけでなく、従業員も同じ方向を向いて仕事に取り組めるようになる。

 

スポーツビジネスにおいても、この手法は有効であると思われる。競技は違っても、そのチーム・組織の運営で有効なことは共通していることが多い。そういったノウハウを活かさないのは非常にもったいない話しだ。

そこで、スポーツチームにおいて、ベンチマークとなりうるチームや団体はあるのだろうか?

筆者が1つ挙げるとすれば、日本の国技でもある「大相撲」は、ベンチマークになると考えている。伝統的で保守的な印象を持ってしまいがちだが、大相撲はスポーツビジネスの理想に近い位置づけにあり、かつ最近はマーケティングにも非常に力を入れ、効果を上げている。

 

 

  • 人気復活の大相撲は、スポーツビジネスの理想形

 

横綱・稀勢の里の誕生などで、大相撲の人気は回復傾向にある。

現在行われている5月場所は、チケット販売からわずか1時間半ほどで、当日券を残し完売。若貴時代を思わせる人気ぶりだ。

 

また、観戦するファン層にも大きな変化が見られる。

最近は、SNSなどを活用してマーケティングを強化したことで、女性ファンが急増。特に、力士が女性ファンを「お姫様抱っこ」する企画は、メディアにも取り上げられ、大きな話題を呼び、新たなファン層の開拓にも成功している。

 

これらも含め、大相撲には、スポーツビジネスで成功するための要素がある。それは、主に以下の3点が挙げられる。

 

 

1.両国国技館(専用競技場の所有)

専用競技場を持つメリットは、スポーツビジネスでは見逃せない要素だ。

競技場の使用料を払う必要もなく、また館内で販売されたグッズの収入も手にすることができる。また、ファンが観戦しやすいように、座席の配置なども自らが決定できる。

スポーツチームによっては、競技場の使用料によって経営を圧迫しているケースが見られる。中には、競技場は黒字、しかしスポーツチームは赤字というケースもある。

相撲における両国国技館は、あって当たり前の存在に感じるが、スポーツビジネスの観点でいえば非常に大きな存在といえる。

 

 

2.地域密着 ~世界における日本のアイコンに~

スポーツビジネスの成功要因の1つに、地域に根ざすことが挙げられている。その地域におけるアイコンになることが、スポーツチームの価値を高め、ファンやスポンサーを呼ぶことにもなる。

大相撲の場合、「世界における日本のアイコン」という意味で、その条件を満たしているのではないだろうか。もちろん、国技として位置づけられているのも大きいが、相撲協会のスタンスも日本のファンを意識した内容になっている。

一例を挙げれば、大相撲の「巡業」だ。年間通じて行われるこのイベントは、日本全国各地を回り、地方の相撲ファンと触れ合う機会を創出している。海外への巡業も稀にあるが、基本的には日本という土地に根ざし、地道に活動を継続している。まさに、世界における日本という地域に密着している。

大相撲は、日本国内のファンを大事にする姿勢を崩していない。

 

 

3.メディアのみに頼らないマーケティング施策

https://twitter.com/sumokyokai

メディアへの露出度も大きな要因だ。NHKで幕内の全取組が放映されるなど、その訴求力も大きい。これにより、スター力士が誕生した際には、大々的に報じられ、関心を持ってもらえるようになる。

しかし、近年ではテレビだけに頼らず、SNSを活用して、若いファン層への訴求も積極的に行っている。

例えば、twitter のアカウントでは、当日の力士の画像などを頻繁にアップロードして、その様子を伝えている。フォロワーも30万人に届こうかという勢いだ。Twitter には、当日国技館に来る力士の様子など、頻繁にアップロードされており、ファンがチェックしたくなるように工夫されている。

また、公式LINEに登録すると、特製グッズを無料でもらうこともできる。SNSを有効に使い、潜在顧客とのタッチポイントをできる限り増やそうと努めている。

 

さらに、SNSで顧客を獲得するだけでなく、観戦に来た人に対してキャンペーンも積極的行っている。ホームページでは、「お楽しみ企画」として告知されている。

力士と一緒に写真を撮れたり、親方と活躍する往年の名力士たちと触れ合う機会を作り、顧客満足度向上を図っているのだ。

これにより、ファンに「また観戦に行きたい」と思ってもらい、リピートを起こすことができる。

スポーツチーム・組織の中でも、これだけマーケティングに力を入れている例は珍しいのではないだろうか。

 

  • 「大相撲は特別」と諦めていないか

「大相撲は国技で別格。参考にならない。」

使えるように努めることはできるかもしれない。

 

大相撲という日本の伝統スポーツが、先進的な取り組みを交えながらその価値を高めようとしている。

夏場所の取り組みだけでなく、その組織運営も目が離せない。

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