
今や欠かせない、スポーツチームのSNS活用
世の中で当たり前のようにSNSが使われている昨今において、スポーツチームでもSNSの活用は重要なマーケティング施策の一つになっている。SNSはtwitterやLINE, Facebookなど様々なものがあるが、いずれも情報をスピーディーにファンへ提供できるのが強みになっている。またホームページの更新などは時間や費用の問題がある一方で、SNSはマーケティング担当者の手で更新し情報をアップロードできる強みを持つ。一方で、様々なSNSがあるがゆえに複数のSNSに手を広げてしまいファンが情報を拾いにくくなっているケースも見られる。
SNSなどのツールを使いこなす上で重要になってくるのが「どのSNSを活用するのか?」という視点と「ターゲットをどこに定めるか」という視点だ。ここがブレてしまうと始めたは良いものの思ったような効果を上げられず終わってしまうことがある。
では、具体的にどのように活用すればいいのか。ここではプロ野球・横浜DeNAベイスターズのSNSの活用例を取り上げ、スポーツチームにおけるSNSの活用方法について検証する。
チーム成績だけでなく、球団経営も急上昇
そもそもなぜ横浜DeNAベイスターズを題材に取り上げるのか、その背景について少し触れてみる。
2016年、前年最下位の横浜DeNAベイスターズは果たす大躍進をとげ、クライマックスシリーズ・ファーストステージでは読売巨人軍を最終ステージに進出。
日本シリーズ進出にはならなかったものの、2016年のセ・リーグで大きな存在感を放った。
またチーム成績だけでなく、チーム経営でも2016年は大躍進の年になった。
特に年初に発表したTOB公開買い付けによる横浜スタジアム買収は球界関係者に大きな衝撃を与えた。
またスタジアムの観客動員数は年々増加し、2016年はの93%を記録した。
順風満帆に成長を続ける横浜DeNAベイスターズ。しかし数年前まではチーム成績の低迷だけでなく、観客動員数も伸び悩み、チーム経営も30億円以上の赤字で苦しんでいた。しかしDeNAの買収後、マーケティングを強化し驚異的な伸びを示すことになる。
なぜこれだけの大躍進を果たせたのか。その理由の一つにSNSの有効活用法が挙げられる。
https://www.facebook.com/baystars.official/
SNSはフェイスブックに絞る
LINEやTwitterなど様々なSNSが普及している中、
・ターゲットがFacebookを頻繁に活用する30代、40代の男性
・文字数にとらわれず、メッセージを伝えることができる
・ファンと双方向の交流が可能
1つ目の理由は、ベイスターズは30代、40代の男性を「アクティブサラリーマン」と位置づけターゲットにしている。一方、統計によるとFacebookを1番活用してるのがこの年代になる。年代層によって活用するSNSは多様化しており、例えばや20代前半であればTwitterやInstagram、LINE等が頻繁に使われている。
このようにターゲットとしている年代に応じてSNSを選び、媒体を絞ることで効率的なマーケティングが可能となる。
2つ目の理由は、Twitterでは140文字という制限があるのに対し、Facebookは文字数の制限がなく動画を投稿することも容易なのが特徴だ。
ベイスターズの前球団社長・池田純氏は、TwitterやInstagramは余程エッジの利いた投稿でないと拡散の効果は薄いと著書で述べている。
このようにどのようなメッセージをファンに伝えるかもSNSを選択する大事な要素と言える。
また3つ目の理由である、ファンとコメントを通じて双方向のコミュニケーションが可能なのもFacebookの特徴だ。球団のリリースに対し、ファンが自分の意見を伝えることができるのはファン心理を満たす上で効果的と言える。ブログの記事などで意見を述べるのと違い、ダイレクトに伝えられるのは熱心なファンには魅力的だ。当然、その中でいわゆる「炎上」の問題もあるが、ベイスターズはそれも踏まえてファンの声として拾い上げている。球団としてもファンの生の声を聴くことで、今後の企画立案に活かすことができるのだ。
このようにマーケティングをしっかり実践し、驚異的な成長を遂げた組織は、SNSの活用1つ とっても強いこだわりがあることを見てとれる。
ターゲットを明確にし、SNSを有効活用すべし!
ベイスターズの場合、年齢・性別だけでなく、そのターゲットはどのような仕事をしていて、どのようなライフスタイルを過ごしているか、象徴的なユーザーモデルを明確にして企画を検討している。スポーツチームもまずターゲットを誰にするか決定することがマーケティングのスタートといえる。
そして、これにより情報を発信する媒体も決まってくる。
SNSは情報を手軽に発信できる強力なツールの一つだ。またホームページの更新に比べても費用や手間がかからないのも大きな魅力だろう。
お金や人的リソースが十分でなくても、ファンに自分たちのメッセージを届けることはできる。
「人手が足りない」
「マーケティングにお金をかけられない」
そんなチーム関係者こそSNSを最大限活用する価値があるのではないだろうか。
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